【完】君しかいらない
「ううん、本当にボロいよね。あたしもびっくりしたもん」


「あそこって社宅なんだよね?陽斗のお父さんと同じ会社なの?」


「なんか、そうみたい。ちなみに、隣の家…」


「へー!隣なんだぁ」


その後も、春奈とずっと喋ってた。


春奈は気さくで、すごく話しやすい。


もしかして春奈の後ろにするために、あたしの席をここにしたとか…。






なんてことを思いながら、安元くんの姿を探すと、教室の端でクラスの男の子数人と喋っていた。


普通に笑ってるし。


なんだぁ、友達と一緒のときは、あんな風に笑うんだ?






もし、慣れないあたしのために、春奈との接点を作ってくれたんだとしたら、ありがとね。


「こいつと仲良くしてやって」


とかって紹介されるより、全然いい。


これが安元くんの、さりげない優しさなんだとしたら、かなり分かりにくいけどね…。





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