【完】君しかいらない
「待て待て、そこの彼女。なぜに逃げる?」


奏太くんは冗談っぽく言って、あたしの前にまわりこむ。



なぜにって、そこに奏太くんがいるからだよっ!


とは言えず、ビビりながらも、奏太くんをジッと見上げた。


「あ~、だんまり?俺、そういうのあんま好きじゃないんだけど。愛梨ちゃんのかわいい声、もっと聞かせてよ」


奏太くんはさり気なくあたしの肩を抱いてくる。


「嫌~っ!あたしから離れて!今朝も言ったよね?あたし、彼氏以外とはそーいうことしないのっ」


「ん~、じゃあ俺が愛梨ちゃんの彼氏になる」


…どうしよう、この人話が通じないっ!!




通りすがりにあたしたちを見てる生徒は、奏太くんがそういう人だってわかってるのか、クスクス笑ってるか、冷やかしていくだけ。


奏太くんって、一体どういうキャラなの?


彼女いるんだよね!?

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