【完】君しかいらない
先々行こうとする安元くんの腕を軽く引っ張ると、やっと立ち止まってくれた。


「なんだよ…パンおごったから、もう貸し借りナシな。今日のことは、忘れてくれ」


「忘れて…って…。ねぇ、春奈…のこと…」


「それ以上、言うなよ?」


安元くんは辺りをチラッと確認すると、また歩き始める。


人に聞かれちゃマズイってことかな。


だったら小声で話せば大丈夫だよね。


安元くんに近寄って、なるべく小さな声で話しかけてみた。






「今日、春奈と話したの。春奈は…安元くんのこと、まだ気になってるみたいだよ?一度春奈と話し合ってみたらどうかな。

もしかしたら、お互い気を遣い過ぎて言えてないこともあるかも…」


そこまで言ったら、安元くんに思いっきり睨まれた。




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