【完】君しかいらない
パンを片手に教室に戻ると、教室には半分も人がいなくって、春奈たちももうお弁当を片付け始めていた。
「うわー、みんなもう食べちゃったの?早いね」
「次、体育でしょ。移動するから早く食べたの」
「うわ、そーなんだ!?あたしもすぐ食べる!」
パンにかじりついて急いで食べようとしてたら春奈に笑われた。
「大丈夫だよー。待ってるから」
「ありがと…」
春奈は、今朝とはうって変わって表情も明るいし、何てことなさそうに、普通に話しかけてくれる。
渡した紙袋は、春奈の机の横に掛けられたままで…。
無意識のうちに紙袋に視線が集中していたのか、友達の一人が、そのことを話題にしてきた。