【完】君しかいらない
…何だろう。


この、諦めの悪い親子は。


だけどこんな風に優しくされると…今まで張りつめていたものが、フッと緩んだ気がしてきた。


躊躇した隙に、愛梨ちゃんに背中を押され、隣の部屋へと押し込まれる。


「奏太くんが起きるまで、ドア閉めてるね。おやすみ~!」


愛梨ちゃんはそう言い残すと、パタンとドアを閉めてしまった。







…ったく、強引だよな。


でも…ホント言うと、このまま一人でいるのは…何だか少し心細かった。


さっき風呂場で聞いてたみたいに、ドアの向こうで、愛梨ちゃんと母親のやり取りが聞こえてくる。


「も~、お母さんてば!奏太くんに何であんなこと言うの!?無神経だよ」


「そうよねぇ、ごめんね、つい言っちゃった。だけどホントにそういう風に聞いたのよ~」


「だからって、言っていいことと悪いことがあるでしょ!?」




< 405 / 1,444 >

この作品をシェア

pagetop