【完】君しかいらない
「そうよね。でも奏太くん気にするような子でもなさそうだし、大丈夫じゃない?」


「いつも、人は見た目で決めないのって言ってるのは、お母さんでしょ?奏太くん、実はすっごくナイーブかもしれないんだから!!」


愛梨ちゃんが必死になって言ってるのを聞いて、思わず吹き出しそうになった。


…ナイーブ?俺が…!?


どういう風に俺が印象付いてるのか知らないけど、ナイーブは…ないな。


用意された布団に潜りこみながら、学校とは違うシーツの匂いに、何だか心が落ち着く気がする。


愛梨ちゃんちの幸せが、シーツから香ってくるような感覚。


温かい家庭で育ったから、愛梨ちゃんはあんなに愛情に溢れてんのかな。


フツー、あの状態で俺なんか家に入れないだろーし。





その後の会話はよく聞き取れなかったけど、そのうち愛梨ちゃんの笑い声やテレビの音が、リビングから聞こえてくる。


目を閉じると、ベランダから雨音が聞こえてくる。




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