【完】君しかいらない
なんだ…俺、泣きたかったのかな。


母親が出て行った日も、俺は泣けなかった。


泣いてすがりついて、


「行かないで。もう一度、父さんと仲直りしてよ」


って…言えなかった。


できた息子を装って、今まで辛い思いをしてきた母親を、父親から解放してやりたかった。


だけど実際は、親が思ってるほど俺は強くないし、本当の俺は、すごく泣き虫で弱くて…。






寂しい…


俺を、ちゃんと愛して欲しいって、


心の底では叫んでるのに、それをウマく伝えられない。


恋愛でも、いつも自分が相手をリードしてる顏をして、


本当は俺が一番愛情を欲していた。


頼られるんじゃなくって…


守られたいっていう欲求が自分の中にあるのを、


今、初めて実感した。




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