【完】君しかいらない
「今日、友達が…そのー…泊まりに来てて」


「へー。もうそんな友達ができたんだ?」


黙ってるのってよくないよね。


やましいことなんて何もないし、後でわかったとき嫌だから、奏太くんのことちゃんと言っておかなくちゃ…。


あっくんが、今日こそは嫉妬してくれるかもって思うと、ドキドキしてくる。


いつも全然妬いてくれないから…。


「同じマンションに住んでる、1年生の男の子なんだけど…。でも仲いいから泊まるっていうよりか、風邪ひいてて家に誰もいないっていうから、心配になって、ウチに泊めることになって…。あっ、お母さんもそうしなさいって言ってくれて…」


あ、やっぱり言わない方がよかったかな。


変に勘ぐられたりして、あっくんが怒りだしたらどうしよう。


「愛梨はお人よしだよな~。大丈夫なの?そいつ…。引っ越してすぐなのに、信用できる?」


わっ…嬉しい。あっくんがあたしの心配してくれた!?


あっくんは怒るどころか、あたしを窘めるような口調でゆっくりとそう言ってきた。


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