【完】君しかいらない
「他のヤツって…。そんなのしょうがないじゃない。好きになる人って、選ぼうと思ってえらぶわけじゃないし」


「…俺には選んだようにしか思えないんだけど」


「どういう意味?」


「いや、別に…」


「そこまで言って黙るってズルい!教えてよっ」


あたしが奏太くんに詰め寄ってくと、奏太くんはあたしの腕を持って、グッと引き寄せた。







「ひゃあっ…!!!」


「じゃあ、交換条件。教えたら、俺とチューしよ」


「ま…また、そんなこと言って!からかわないでよっ。あたしは…」


「別に、からかってないから…。愛梨ちゃんさえよけりゃ、俺、今すぐにでも付き合いたい」


…はいっ!?


奏太くんはいつになく真面目な顔をしていて、あたしの胸はドクンと高鳴る。


「つ…き合うとか、そんな…無理、だし。あたし…。や、ヤダ、冗談…だよね?」


できるなら、冗談だって笑って言って欲しい。


大きな声を出せば、もう寝てるお母さんやお父さんも気付くはずなんだけど…


体が固まってしまって、動くことも、声を出すこともできないでいた。



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