【完】君しかいらない
「ごっ、ごめん。すぐ降りるから…」


「いや、別にいーけど…」


安元くんはフゥとため息をつくと、ピタリと足を止めた。


「どうしたの!?」


「お前さ…行かなくていいわけ?」


「え…」


「奏太からちょっと聞いてる。…バイト止められたこととか、バイトしたい理由とか…。お前…今…行くべきじゃねーの?」


「行くって…」


どこに?とは、さすがに聞かなくてもわかる。


安元くんの背中越しに話してたから、きっとあっくんの声も聞こえてたんだね。


あたしたちの話を、黙って聞いていた上で、安元くんはそう思うってことだよね…。














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