【完】君しかいらない
「そりゃ…行きたいけど。今行って、あっくんの重荷にならないかなぁ…」


「なるわけねーじゃん。お前、彼女なんだろ?強がっててもさ。多分…そいつ、心細いと思うよ」


安元くんが言うと、なんだか説得力がある。


「あたし…行ってもいいのかな」


あっくんはしばらく電話しないで欲しいって言ったけど、今の状態でずっと何もしないでいるのは、あたしの性に合ってないのは確か。


「決めるのは…お前だけど。俺みたいに、手遅れになる前に…ちゃんと自分の気持ち伝えないとな」


あたしの…気持ち?


「だけどね。さっきもだけど…あたし、空回りしちゃうっていうか。あっくんに声かけても、しっかりしてるあっくんからしたら、ウザいだけだったら嫌だし…」


「全然空回りしてねーって。お前と話してたら落ち着いたっつってたろ?そーいうもんだよ。それに、言葉なんかなくても…抱きしめるだけで、伝わる気持ちもあんじゃねーの?」


ドキッ…。


安元くんがそんなこと言うなんて、意外…。



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