【完】君しかいらない
だけど、男の子は怒ってる風ではなく、口元に笑みを浮かべてる。


「虫……」


「え、無視?」


あたし、安元くんみたく無視したように見えた?


そんなつもりないんだってば。


慌てて動こうとしたら、肩をグッと捕まれた。


「動くなって。虫ついてる」


むっ……虫っ!?


「えぇっ、キャーッ、ヤダ!!取って、取って、取ってーっ!!」


虫大っっっっ嫌いなんだってば!


泣きそうになって、金髪の男の子に思わずしがみつく。


「だーから、動くなっつってんだろ?」


はい……。


あたしは半泣きで、しばらく大人しくしてた。



< 95 / 1,444 >

この作品をシェア

pagetop