【完】君しかいらない
「なんで……なんで、あたしになにも言ってくれなかったの……?」


「え……なんのこと?おかしいよ、愛梨……どうしたの?」


「あたし……知ってるんだよ。依子がホントは…誰を好きだったのか……」


そこで、依子が息を呑む音が聞こえそうだった。


さっきまで話し続けていた依子の声が、そこで一旦途切れた…。






「あっくんのこと…あたし……全部知ってる。依子はあたしの気持ちを知ってたから…あっくんを諦めたんだよね……」


声が……震える。


だから、涙が零れる前に、一気に言ってしまいたかった。


「なっ……。アイツ、愛梨になに話したの!?全部ウソだから……そんなの、全部ウソだよ?」


依子が必死になればなるほど、あたしの胸がズキズキと痛くなる。


どうして正直に話してくれないんだろう……。


「あたし……苦しいよ……」




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