【完】君しかいらない
「あっくんがどういう言い方したか知らないけど、あたし……ホントにあたしとあっくんは、なんでもないんだよ?ねぇっ……」


「あたし、言ってほしかった……。あたしは、依子のこと……親友だと思ってたから……」


「…………」


「へへっ…そうだよね……。言えるわけないよね……。だって依子……優しいんだもん……」



「優しくなんかないよ……」



依子の声のトーンが一気に下がり、ボソボソとした話し方に変わる。







「学校でも、あたしにイヤな委員がまわってきそうになったら、依子が先に立候補してくれた。


運動会の種目も、あたしがリレーが苦手だからって、借り物競争と代わってくれたよね……」



「そう……だったかな……」


そう答える依子の声は、暗くて低い。



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