甘恋集め


気付いた友達はみんな一様に

『透子に似合わない』

と言って笑う。大人ぶらなくてもいいのにって言ってからかう。

私も、自分がそれほど大人っぽくない事は自覚しているし、化粧もうまくないしハイヒールも苦手。わかってるけど。

「この香りが、私の大切な人を探してくれてるの」

信号が青に変わって、ゆっくりと歩き出して。

小さな声でそう呟いた。

「大切な人……?」

山崎くんの怪訝そうな声に、にっこりと笑った私は、肩をすくめて歩みをすすめた。

< 10 / 207 >

この作品をシェア

pagetop