甘恋集め
にっこりと巧さんと真里さんに笑うと、途端に複雑な顔をする二人。

きっと、どう答えていいのかわからないんだろう。

簡単に言えば、私は可哀そうな子だと思われてるんだろうし。

でも、決して私は可哀そうな子じゃない。

「たとえ血が繋がっていても繋がっていなくても、幸せに育つ子供もいれば、そうじゃない子供もいるから、そのことを基準に幸せを考えるのはおかしいです。
実の親から虐待されて、悲しい思いをしている子供もいるんだから。

……少なくとも、私は橋本の両親と親子になれて、幸せです」

無言の巧さんと真里さんは、しばらくそのまま私を見つめていた。

そして、巧さんが、ふっと息を吐いた。

「幸せか……。俺は、真里が俺の側で幸せに生きていればいいから。それだけ覚えてろよ」

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