甘恋集め
「え?バージンロード?一緒にか?いいのか?」
私の言葉を聞いてすぐに、おじさんは顔をあげて、幾つもの質問を叫んだ。
顔に赤みもさして、落ち込んでいた心が少し持ち直したように見える。
……そんなに嬉しいのかな。バージンロード。
「いいよっていうか、お願いします。きっと、天国の父さんも母さんもそれを望んでるはずだから。おじさんと一緒にバージンロードを歩いて、駆のお嫁さんになりたい。……いいでしょ?」
「もちろん、いいさ、いいさ。そうかあ、一緒に歩くか、バージンロード。
っていう事は、早く会場をおさえたり、準備に入らないとな。
そうだ、巧が結婚式を挙げたアマザンでいいんじゃないか?あのホテルなら大勢呼べるし料理も超一流だ。知り合いも多いから無理もきくぞ?」
何かを思いついたような声にびくっとなる。
「え……アマザンって、あのアマザン……?」
おじさんの口から出た言葉に驚いて、それ以上続かない。
そっと巧さんを見ると、苦笑いしながら小さく頷いている。
その顔は『諦めろ』とでも言っているみたいだ。
アマザンなんて、私みたいな単なる会社員には恐れ多い高級ホテルなのに。
そんなの。
「無理、無理。身の丈にあったホテルでいい。アマザンのような高級ホテルで結婚式なんてお金がいくらあっても足りないもん。
私も駆ももっとあっさりと地味な結婚式でいいんだからね。ね、駆」
「あ、ああ……」
「第一、未来の社長が約束されてる巧さんと違って、私ごときの結婚式に招待する人の人数なんてしれてる。だからアマザンは却下だからね」
話の成り行きに驚いたままの慌てた調子で一気にそう告げると、おじさんはむっとした表情を露わにした。
「だめだ。アマザンで結婚式をするんだ。お金なら俺が出す」