甘恋集め


「は?どうしてそうなるの?私と駆でちゃんとお金は出せるよ。
あ、地味婚になるけど」

「地味婚が流行ってるのかもしれんが、何が何でもアマザンのチャペルで結婚式だ。決定だ」

「どうして?どうしてアマザンじゃなきゃだめなの?
社長のおじさんには普通に使えるホテルかもしれないけど、私たちには敷居が高すぎるよ」

「何をどう言っても、美乃ちゃんはお父さんとお母さんが結婚式を挙げたアマザンで結婚するんだ。あいつらの希望でもあったんだぞ」

「え?」

父さんと母さん。

その言葉に大きく反応してしまった私は、しばらくの間今聞いた言葉を反芻しながら頭の中で整理した……けど。

二人が結婚式を挙げたアマザンって。

あのアマザンで結婚式を挙げたってこと?

……なんだか、あの二人とアマザン。

似合わなくてピンとこないんだけど。

首をかしげながらおじさんを見ると、おばさんと一緒に優しい笑顔を私と駆に向けていた。

小さな頃から私をかわいがってくれた優しい笑顔だ。

その後ろには、いつも両親がいた。

両親とおじさんおばさんの四人から向けられていた瞳が、私を育ててくれた。

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