甘恋集め


   *   *   *



おじさんの家を訪ねた時の戦闘モードはどこへやら。

ほどよくお酒がまわった雰囲気の中で、駆も私も笑顔でおいしい食事をいただいている。

駆との結婚式を、アマザンホテルで挙げる事については駆がご両親に電話をして了解を得た事で現実ものとなった。

駆が勤務している会社の社長の希望だと言えば、ご両親の真意がどうであれ断ることなんて無理に決まってる。

『会社関係の招待客もかなり呼びたいから、費用はこちらで持たせて欲しい。
その代わり、美乃ちゃんとバージンロードを歩くのは俺だから』

駆の携帯を横取りして、まるで本当の父親のように話し出したおじさんは、
意気揚々、ご機嫌な顔で破顔して、次々と段取り良く話を進めていった。

その様子には、溢れるほどの喜びが満ちていて、側にいるみんなも、

『社長なのに、かわいい』

と思いながら、おじさんを見つめていた。

結局、地味婚を目指していた私たちの結婚式は、かなり豪華で派手な結婚式に
なりそうだ。

まるで社長令嬢だと錯覚してしまいそう。

早速、結花ちゃんにも報告しなきゃね。





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