甘恋集め
「で、園田くんは、うちでシステム開発の仕事をしているのか?」
「はい、まだ先輩に教えられながらですけど、建築関連のシステム開発をさせてもらってます」
「そうか。建築屋の俺には全く理解できん世界だな。
パソコンどころか携帯ですら使いこなせてない俺には未知だ、未知」
ビールを飲みながら、隣に座らせた駆にいろいろ話すおじさんは、単なる親戚おじさんにしか見えない。
社長の威厳は全く感じられないけど、それはきっと。
駆との距離を縮めようとして頑張っている、おじさんの精一杯の気遣いだ。
「そういえば、相模のところのシステムとうちのシステムを共有化させるんだろ?順調に進んでるのか?」
向かいの席にいた巧さんが話に入ってきた。
「はい、来週から本格的な打ち合わせが始まります。相模さんとも何度か話をさせてもらったんですけど、順調にいきそうです」
「そうか、大きなプロジェクトだからな、俺も一度相模には挨拶するよ」
「はい、わかりました。よろしくお願いします」
いきなり仕事モードで真面目な話を始めた二人に、その場の空気が少し変わった。
お祝いの席だと上機嫌だったおじさんは
「今日は仕事の話は禁止。一切なし。仕事は会社ですればいいんだ。
今は美乃ちゃんのお祝いだ」
ぷん、と顎をあげて不満を顔に出すおじさんに、巧さんは小さくため息をついた。
「小学生かよ……」