甘恋集め
「あ、子供だ。子供」
突然、おじさんが言い出した言葉に、不安げな顔になった駆。
さっきまで、駆には子供を持つ可能性は低いという話をしていたのに、なぜか巧さんと真里さんの熱々モード見学会へと変化した。
駆の体の事について、おじさんは立ち入った事を言わなかったな。
なんとなく気になってたけど、いい雰囲気の中でぶり返す事もできずにいた。
巧さんと真里さんへの言葉を聞く限り、おじさんが駆の体の事で私との結婚を反対する事はなさそうだから、まあ、安心なんだけど。
「もし美乃ちゃんと園田くんが、二人の間に子供を持ちたいって思うなら。
そのためにかかる治療費も援助するから、ちゃんと言いなさい」
「おじさん、そんなこと……」
思わず言い返しそうになる私の手を、そっと握りしめた駆。
私の口を閉ざすような視線にぶつかった。
「先の事は誰にもわからん。もしも治療して子供を持ちたいのならすればいい。
それにかかる費用は心配するな。お金で解決する問題なら、俺にも手伝える。
だから、頼ってくれ。お金の問題で諦めて後で後悔するなら、俺も悲しい。
美乃ちゃんと園田くんが幸せだと思える選択をすればいいから」
「ありがとうございます」
ソファから立ち上がって、深々と頭を下げる駆。
その姿につられて慌てて私も立ち上がった。
目の前にいるおじさんとおばさんに、ありがとうと告げて、頭を下げた。