甘恋集め
今日も、大学の講義を終えたその足で、バイトまでの少しの時間を利用してやってきた。

癒しを求めてひたすら坂道を上る。

上りきるタイムもこの半年でかなり縮まったはず。

「どんな勉強をしたら、あんなにきれいな緑色を、出せるんだろ。本当、素敵」

「何が素敵なんだ?」

「え?何?」

目の前に広がる景色に浮かんでいるお目当ての屋根に夢中で、近くに人がいる事に気づかなかった。

突然かけられた声に慌てて振り返ると、長身の男性が立っていた。

その人は少しずつこちらに近づくと、ベンチのすぐ横から目の前に広がる景色を眺め始めた。

「結構、見晴らしいいんだな」

私に話しかけているのか、独り言なのかよくわからなくて、思わず無言で彼を見上げると、

「お前、いつもここに来るの?」

まるで知り合いみたいな口調の彼と目が合った。

小さな顔に、整ったパーツが整然と並んだ顔は、まるでモデルみたいだ。

切れ長だけどはっきりとした目元で見つめられると、きっと女の子の気持ちは大きく揺れるはず。

……私もその例外じゃないけれど。
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