甘恋集め

「今から実家に帰るけど、ついてくるか?
ここからあの屋根を見つめるよりも、もっとしっかりと見えるだろ。
この坂を下りてすぐの駐車場に車入れてるから乗せてやる」

ベンチから立ち上がった真田くんは、私を見下ろしながらそう言ってくれた。

言葉も表情も明るいその様子は、ただでさえ整っている見た目をさらに魅力的に見せていて、思いがけず、どきどきする。

男友達がいないわけじゃないしけれど、元来人見知りで自分に自信が持てない私には、真田くんのように自信に満ちている男性との縁は少なかった。

きっと、女の子からの人気は高いはずの顔を私に向けられて、ときめかないわけがない。

とくとく、心臓が暴れるのも当たり前だ。

女の子なら、誰もがそうなってしまうはず。

そして、そんな女の子の心の機微に慣れているんだろう。

真っ赤になったに違いない私の顔をじっと見入りながらくすくす笑ってる。

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