甘恋集め


小さく息を吐いて、二人の側に歩いて行くと、私に気付いた東条専務がほっとしたような顔をした。

そんな顔をするから、美乃ちゃんも怒るのにな。

「美乃ちゃん、そろそろお昼行こうか」

「え?今それどころじゃ……」

「でも、昼からお客様がたくさん来られるから、早めに済ませないと。ね」

「えー。でも、専務にはまだまだ言いたい事が……あ、専務っ」

隙を見て秘書課から逃げていく専務の後姿を睨みながら、美乃ちゃんはちっと舌打ち。

あーあ。

可愛い顔が台無しなのに。

私は呆れた気持ちを隠すことなくため息をついて、呟いた。

「美乃ちゃん、とりあえず、お昼、食べに行こう」

本当、世話のやける同期だ。
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