甘恋集め
くすくすと笑う利也さんの声に、私の胸は更に痛みが増す。

ナイフとフォーク、うまく使えてるのかな。

ちゃんとハンバーグ、食べられてるのかな。

自分の事なのに、わからなくなってくる。

気持ちは混乱して、いつもなら無意識に貼り付けている笑顔ですらあやうい。

「私の事、魅力的だって思ってくれる人、一人いるからいいもん」

美乃ちゃんは、相変わらず口の中をもぐもぐさせて、どうにか作った笑顔を利也さんに向けた。

その笑顔はとてもかわいらしくて、普段の強気な美乃ちゃんじゃないみたいに女の子らしく見える。

利也さんは、そんな美乃ちゃんに意味ありげに笑って見せた。

二人にしかわからない、そんな笑顔で。

そして、私の胸の痛みは限界に近づいていく。



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