甘恋集め
二人のその様子に、戸惑いを感じながら近づいた。
相変わらずにこにこと笑い合っている二人は、私が近くにいる事にも気付いていない。
そんな二人に違和感を感じつつ、声をかけた。
「園田くん?スケジュールわかったけど」
私の小さな声に、二人は同時に視線を動かして私を見た。
今まで見せていた楽しげな色は一瞬にして消えて、はっと気づいたように重苦しい色に変わった。
「あ、悪い悪い。で、明日大丈夫そう?」
気のせいか、園田くんの声がうわずっているように聞こえる。
「うん。午前中ならまるまる空いてたけど、早く押さえないと、高橋専務なら現場に行っちゃうよ。なんなら、私が入力しようか?」
パソコンにスケジュールを入力して、役員の時間を押さえる事ができるのは、基本的には部長以上の社員と秘書課の人間だけ。
園田くんが今から部署に戻っても上司がいなければ、それだけ時間がかかってしまう。それならいっそ、私が入力してあげようかと思ったけれど。
「いや、いいや。結花は帰る支度もしてたし、まだまだ残業だっていう美乃に頼むよ。ありがとうな」