甘恋集め


「やっぱり、オーラが凄かったよな。
建築界の至宝って言われるだけあるよな。
俺、講演の最中鳥肌たって涙出そうになったもん。スゲー人だよな」

「そうだよなあ、手がけた物件を生で見たらぶっ飛ぶくらい凄すぎて、俺自信喪失だよ」

「え?今まで自信なんてあったの?」

頼子ちゃんの言葉に、みんな大きく笑った。

私も含めて興奮気味の空気に、自然と声も大きくなってしまう。

駅からの道を5人で歩きながら、少し気になるけれど、声を小さくする様子もなく、私達の気持ちは上ずっていた。

さっきまで私達、建築士を目指している仲間みんなが参加していたのは、

『相模恭汰』

という建築界の神様ともいうべき人の講演会。

私が通う大学。彼の出身大学だというだけで選んだと言っても過言ではない。

建築学科に在籍する学生のほとんどは、私と同じ理由で入学したんじゃないかな。

今一緒にいるみんなだってそうだ。

相模さんに憧れて、今があるんだ。
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