甘恋集め
『自分の仕事は自分で』
そんなスローガンは役員たちも実践しているせいか、役員のお守りをしなきゃっていう事前の先入観も無用で、秘書課の中はまるで男ばかりの体育会系。
相手が役員であろうが平社員であろうが、秘書達は皆言いたい事は言って筋を通す。
無駄な仕事はしない。
そんな効率的な秘書課が、私にぴったりはまって、なかなか楽しく仕事をしている。
もともと社長である高橋のおじさんの強い希望でこの『KH建設』に入社したけれど、就職活動を頑張っている同年代の仲間達を裏切っているようで嫌だった。
なんだか自分がずるい人間になった気がしてた。
大学の友達は皆、運良く就職できているけれど、就職活動中の苦労や悔し涙を何度も目にする度、後ろめたい気持ちを消す事はできなかった。
それでも、私が両親を亡くして以来見守り続けてくれる高橋のおじさんの強い希望を無視する事もできなくて。
高橋のおじさんが社長を務める『KH建設』に就職する事にした。