甘恋集め

「結花ちゃん、お昼行こうよ」

「うん。今日も、利也さんのお店?」

「そうだね。今日のランチは私の大好物のハンバーグだって朝メールで確認したし。楽しみ」

「……じゃ、行こうか」

ほんの少し俯いて、結花ちゃんは口元だけで笑った。

きっと彼女は気付いてないだろうけど、目は笑ってないんだよ。

すごく悲しそうで、寂しげ。

儚げな美少女そのもので、本当、かわいい。

結花ちゃんのそんな表情の原因は、私だ。

そして、としくん。

私の婚約者という立場にいるとしくんの事、結花ちゃんは大好きなんだ。

それはもう、私に遠慮してそっと見つめる瞳はたまらない。

としくんがいなきゃ生きていけない……これは大げさだけど、としくんに恋してるってすぐにわかる表情や仕草だけで、ご飯食べれるくらい。

私が男なら、きっと結花ちゃんにやられて恋におちてるだろうな。

そして、実際に恋におちたのは私じゃなくてとしくんだった。

私の婚約者のとしくん。

本当、ややこしくて、結花ちゃんに申し訳なくて。

ややこしい糸をほぐすにはもう少し時間がかかりそうだから、今日も結花ちゃんをとしくんがオーナーをしているカフェに連れて行く。

せめて、結花ちゃんがとしくんの姿をゆっくりと見られるように。
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