甘恋集め
お昼休みにとしくんのお店に行くのは、結花ちゃんのためだけってわけでもない。

私ととしくんの関係を気にして、自分の気持ちを抑える結花ちゃんの切なさを助長するって事でもあるから、お店に私と行くのは、彼女にとっては切ない時間を過ごす事なのかもしれない。でも。

「いらっしゃい。今日のランチはハンバーグだよ」

結花ちゃんの顔を見る度に嬉しそうに顔をほころばせるとしくんのためでもあるから、結局二人でここに来てしまう。

私がハンバーグを好きだというのは嘘じゃないけれど、私以上に結花ちゃんがハンバーグ好きだと知ったとしくんが、ランチメニューのローテーションを勝手に変えて、ハンバーグを増やしてしまった。

オーナーの一存ってすごい。本当、としくんって、わかりやすい。

そんなとしくんは、私よりも3歳年上の26歳。いい大人なのに、内面はまったく子供のままで、手におえない時がある。

見た目は大人の穏やかさ、整った顔立ちで、年相応以上の魅力全開なのに。

結花ちゃんに対しての態度だけはいただけない。

私が気を利かせて結花ちゃんをお店に連れて行く事を、確かにとしくんは感謝しているんだけど、結花ちゃんの目の前で私と仲良くしている様子をわざわざ見せつけないでもいいと思うんだけどな。

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