甘恋集め
そろそろお店に着くという頃、信号待ちをしていると、隣にいた山崎くんが声をかけてきた。
「その甘い香り、透子ちゃんの定番だな。……バラの香り?」
私の体にそっと顔を寄せて、そう呟く。
「うん。お気に入りなの……。気になる?きついかな」
そっと腕を上げてくんくんと香りを確認。
ボディソープのバラの香り、同じシリーズの石鹸を洋服に移しているせいか、私に近寄ると、必ずバラの香りがする。
香水ほどのはっきりとした香りではないけれど、側にいる人には感じられるくらいには漂っている甘い香り。
どちらかというと、人見知りもするしおとなしい印象を人に与えてしまう私には似合わないバラの香り。