空っぽの家
空っぽの家
「これ、使ってね~」
旦那のお姉さんが、袋いっぱいの服を私に押し付けた。
ひらひらしてて、綺麗な色で、ゆったりサイズで。
本音で言えば、
あたしはシンプルな服が好きなのだ。
こんなひらひら着れない。
こんな、12色入りの絵の具のチューブから搾り出したような、派手な色の服なんか着られない。
おまけに、LLサイズの服なんか、でかすぎる。
「あなたの着てるもの見ると、かわいそうで」
あたしの格好は、黒のフードつきのセーターに、ジーパン。
確かに、何年も前に買った、着古した服だけど、着心地はよいし、縫製も良い。
何より、ずっとお気にいりのデザインなのだ。