コイン★悪い男の純情
 「大阪のマンションを引き払うつもりだ。それに、堅気の仕事を探すそうと思っている」

 「どうしてそこまでするの」



 「命より大切なものが見つかったからだ」

 

 「命より大切なモノって何」

 

 「かんなさんと勇太君だ」



 「淳也さん、私本当に信じてもいいの」



 「信じて下さい」
 「淳也さん・・・」

 かんなは立ち上がると、淳也を力いっぱい抱き締めた。そして、淳也の胸の中で、わあわあと泣き崩れた。

 「かんなさん。僕は、結婚詐欺まがいの恥ずかしい仕事をしていました。そして、女性を数多く騙して来ました」

 「うううっ・・・」



 「僕は、この仕事が恥ずかしい仕事だと言う事が、かんなさんとめぐり逢うまで気が付かなかった。かんなさんを大切にしたいと思った時、初めて気がつきました」



 淳也が、かんなの目を見て言った。



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