知らなくていい
やっと、学校へ着いた。自転車でも持ってくればよかっただろうか。
「東雲さん、荷物持ちましょうか?」
「…いらん。アンタは荷物持ちでもなんでもねーだろ。」
ですが…と続ける緒形を無視して、教室まで歩く
ルームシューズの音が廊下に静かに響いた
緒形は追いかけるようにして、音を鳴らした
ガラガラ、といつもあける教室の扉を開けた
「東雲さん、遅いです」
「………………」
黙って席に着く私に、教師はムッと
しながらも緒形を見た
「…緒形さんもですよ。早く入りなさい。」
「あっ!はいっ!すみません、先生っ!」
どたどた、と慌てたように座る緒形の音に
イラッとしながらも無表情で窓の外を眺めた
グラウンドで土埃を上げながら走っている生徒。
体育で野球をやっているようだ。
「東雲。また、野球みてます。楽しい?」
「…別に。沖野だって、そんなに音楽聴いて
たのしいのかよ。」
隣の席の沖野が話しかけてくる。
コイツは昔からミステリアス、というか。
よくわからんやつだ。
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