短編集
どうやら好印象を与えることができたみたい!
よかった。
ふと目を机に向けると、置いてある本が見えた。
「え、いのりひめ!?」
「え!?あ、コレ?」
……ついつい、驚いてしまった。
まさか、いのりひめって文字をこんなところで見るなんて……。
その本にはしっかりと『いのりひめ』と書いてあった。
ただ……題名のところに。
「題名がいのりひめか……」
「いのりひめさん、知ってるの?」
あれ?
新谷くんも作家のいのりひめ、知ってるのかな?
「あたしの好きな童話作家だったんだけど、あたしが生まれる前に書くのをやめちゃったみたいで。過去のものを少し読んだくらいだけど……」
「泣いた心」
新谷くんが言った、その言葉。
それには、聞き覚えがあった。