短編集
それを言うと、気を失うように眠りにつく。
おそるおそる、鼻に手をかざす。
大丈夫、息をしている。
ホッと一息ついて、安心する度に額にキスをする。
今この子は、こんなにも近くにいる。
触れるほどに、キス出来るほどに。
今、存在していることを確認するかのように、優しく頭をなでた。
そして起きると、ちゃんと元気な笑顔を見せてくれる。
確認させるかのように。
一番辛いはずの白羽が笑顔でいるのに、周りが暗い顔していてはダメ。
そうにいつでも言い聞かせていた。
白羽に、優しい思い出を作ってあげよう。
母はそう、心に刻み込む。