短編集
出会いと悲しみ
──14歳。
あれから10年が経ち、白羽はもう中学三年生になった。
一般では受験生とも呼ばれるお年頃。
ここまで無事に来れたことに喜びを持ちながらも、命がどこまで持つか、周りの不安も募るばかり。
14歳になった白羽の性格は昔とほとんど変わりなく、周りに心配かけないようにと気を配りすぎて、逆に自分の具合を悪化させてしまう……。
優しさが裏目に出てしまうのだ。
白羽が呼吸困難で倒れる。
母は、これが日常であってはいけないのに、慣れてしまった自分を嫌う。
幼かった頃よりは発作の回数も減っているけれど、まだまだ、安心はできない。
いつも通り、すぐに駆けつける。
「……っだ、大丈夫、おさまってきたから」