短編集
――目が覚めると、そこは病院だった。
白いカーテン、壁、布団……。
何度も入院したことがあるから、すぐに分かった。
カーテンを開いて辺りを見渡すと、一人の男の子と目が合う。
「「……」」
硬直。
相手も驚いているみたい。
「……あ……」
「あ……」
「「……え……?」」
そこにいたのは、学校のクラスメートだった。
「い、和泉くん!?」
「天使じゃん」
和泉彩喜(いずみさいき)。
白羽と小学生の時から同じ学校で、クラスもよく同じになっていた。
ちなみに、小学生のとき、『天使になる』なんて言ってから、白羽のあだ名は『天使』で定着していた。
それはまだずっと続いている。
「天使はまた呼吸困難?」
「うん。和泉くんは……」
「俺はコレ」
そう言って指さした先には、包帯ぐるぐる巻きの足があった。