短編集


「こちらとしても、やれるだけのことはします」

「……お願いします……」


白羽の誕生日は3月。

今は夏で、あと半年ちょっとの命と言われたようなもの。


いなくなる怖さが全身を震わせ、絶望へと追い込む。

白羽のいない生活なんて、今じゃ考えられない。


しかし、そんなことも言ってられない。

そんなことを思っている場合なんかじゃない。


悲しみを押し殺して、笑顔で毎日を過ごすことを決めた。


あの子が不安にならないように。

ずっと笑顔でいられるように。


たった一人の娘、白羽のために……。
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