短編集


「では、その気持ちを山の向こうへ……そのまた向こうまで飛ばしてしまいましょう」


そう言って王子は歌い始めました。



あまりにも聞きなれている歌。


しかし、その透き通るような素晴らしい歌声に

姫は世界が変わっていくのを感じました。


「さぁ、姫もご一緒に」


ともに歌い笑い

涙は嬉しさからへと変わっていきます。


力強いアルトの声と

透き通るようなソプラノの声は


通りすがりをも足を止めさせてしまうくらいの

素晴らしさを放ったといいます。



それをきっかけに

二人は愛し合い

永遠を約束しました。


その幸せが消え去るとも知らずに……。

< 13 / 115 >

この作品をシェア

pagetop