短編集
「では、その気持ちを山の向こうへ……そのまた向こうまで飛ばしてしまいましょう」
そう言って王子は歌い始めました。
あまりにも聞きなれている歌。
しかし、その透き通るような素晴らしい歌声に
姫は世界が変わっていくのを感じました。
「さぁ、姫もご一緒に」
ともに歌い笑い
涙は嬉しさからへと変わっていきます。
力強いアルトの声と
透き通るようなソプラノの声は
通りすがりをも足を止めさせてしまうくらいの
素晴らしさを放ったといいます。
それをきっかけに
二人は愛し合い
永遠を約束しました。
その幸せが消え去るとも知らずに……。