短編集
知ってちゃ、いけないってこと?
「どうしていのりひめの存在を知ってしまったのよ?」
『知ってしまった』
引っかかる言葉。
知ってはいけなかったような言い方。
「いのりひめは、二年前くらいに初めて知ったの。そしたらハマって……」
「すべてを忘れる為に捨てたのに……」
……すべてを、忘れる……?
「ここまで知ってしまっているなんて……本当に神様は一体、私に何をさせたいんだろうね……」
悲しそうな顔でうつむいて話すその姿。
確実に知っているんだ、いのりひめを。
それに、『姫様の幸せは?』の一部をお母さんが言った……。
相当のファン……でも、普通は捨てない……よね……?
「全てを話さないといけなくなったのかしら……」