短編集
ジッと見られる視線に、恥ずかしさがこみ上げて来た。
目をそらさない彼に、心拍数が上がっていく。
あたしも、目が、離せない――。
「宮崎波那という僕のお姫様を、一生愛したい」
――弾けた。
「ずっと好きだったよ、波那」
……だめ。
「初めて会ったときから気になってた」
やめて。
「父さんが持っていた写真の人にあまりにも似ていたから……」
あたしだけは――
「でも、今、本当に好きなんだ。本気なんだ……」
どうしてあたしなんだろう?
どうして今まで忘れてしまっていたんだろう?
――詩織の、恋だったのに――