短編集
正直に言うと、とても嬉しかった。
実を言うと、あたしも……惹かれてしまってた、でもね。
私はその気持ちを、抑えなくちゃいけないの……。
「……ごめん、ムリなの……。ダメなの、あたしは。あなただけは……」
親友の詩織の恋が、先だったから……。
と思ったその時だった。
「バカ波那!」
いきなり、自販機の方から聞きなれた声がした。
声のする方に振り向くと……詩織。
「新谷くん、ずっと波那を見てたんだよ!?波那自身も気付いているはず!波那も好きなんでしょ!?ダメな理由なんてない!」
「……詩織……」
普段は叫ぶようなことはめったにない詩織が、叫んでる。
あたしに向かって、怒ってる。
「……新谷くんが波那を見てたことなんて知ってた。……あたしも、新谷くんを見てたから」
詩織……。