短編集
「あのね、三組の男の子が、好きですって言ってくれたの。好きになってくれたのは嬉しいんだよ?でもね……」
……?
嫌な予感しかしない気が……。
「……『付き合って』って言われたから、『どこに?』って返したの。そしたら『失礼しました!』って言って泣いて走って行っちゃって……」
……あぁ。
嫌な予感、的中。
もう高校生なんだから、いい加減気付いてもいいと思うのに……。
本当に詩織は……。
呆れたあたしは、机にガックリ突っ伏した。
こういう子だから、告白の数が数十回来ようとも、本人は一度も告白されたことがないって言いきっている。
何回告白だと言っても冗談として受け取るため、いまだに解決法は見つからない。
もう、苦笑いしか出来ないよ、あはは……。
これは恋させるしか解決できないのか……?
……そうだよ。
「詩織、好きな奴とかいないの?」
いきなり顔を勢いよく上げたあたしに驚きつつも、詩織は答えてくれる。
「へ!?え?ん〜……、そういうことあんまり考えないからかなぁ。好きな人、できないねぇ?」