短編集
放課後になり、私は先輩に指定された美術室へ向かった。
ドキドキする。
絵のモデルになんて、中学の美術で似顔絵描かれた時くらいしかない。
いつの間にか、楽しみだと感じている自分がいた。
美術室に着くとすでに先輩は来ていて、絵を描く準備をしていた。
「未妃ちゃん!来てくれたんだね」
「あ、はい」
今更ながら、緊張してきた。
緊張をほぐそうと、自然と私は先輩に尋ねていた。
「あの……先輩、なんで私を描こうと思ったんですか?」
口に出して、しまった……と思った。
もしかしたらあの時の表情は、振れてはいけない事に対してだったのかもしれないじゃない!
そう思っていると、先輩は一瞬寂しそうな顔をして話してくれた。
「実はね、去年までここは美術部が使っていたんだけど、部員が足りなくて廃部になったんだ」
「え……」