短編集


そんなことを思っていると、突然ドアが開いた。

びっくりして開いたドアへと視線を向ける。


萱瀬先輩もドアへと視線を移した。


「あれ?癒那何してんの?」


ドアを開けた人は、萱瀬先輩に向かってそう言った。


気が強そうな女の先輩。

萱瀬先輩の知り合い?


……名前で呼んでて、親しそう……。


「また絵?」


そう言って絵を覗き込む女の人。

どうやら、『また』と言うほどこの先輩は、萱瀬先輩が絵を描いているところを見ているということらしい。


そして今度は私に視線を向けた。


「……そいつ誰?」


――敵意のような眼差しで。


「あぁ、秋和未妃ちゃんだよ。今日からモデルをしてもらってるんだ」


……怖い。
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