短編集
変化
その日以降、私は萱瀬先輩と毎日毎日美術室で会って、話しながら絵を描き進めていった。
画用紙の『私』がどんどん完成に近づく。
先輩と一緒にいる時間はとても楽しくて――。
でも分かってる。
完成したら先輩と一緒にいる理由がなくなる。
そう考えると、少し寂しくなった。
少し……そう、少しだけだから、大丈夫……。
そんなある日の放課後、萱瀬先輩と会う前に、亜綱先輩に呼ばれて話をすることになった。
『癒那のことで話があるの』
廊下で後ろから呼ばれ、『だからついて来て』と、そう言ってから、近くの教室に入った。
萱瀬先輩のもとへは、少し遅れてしまいそうだ……。
教室に入ってすぐ、亜綱先輩は質問して来た。
「癒那のこと、どう思ってんの?」