短編集


――翌日放課後


先輩は『用事が済んだらすぐ来るから』と言って、私を美術室でポツリと一人で置き去りにしてどこかへ行ってしまった。


急用が出来てしまったのだろうか?

萱瀬先輩、今ごろ何してるんだろう……?





――side癒那――


HRの後、俺は亜綱に教室にいるように言われた。

一度美術室へ行き、未妃ちゃんに遅れることを言ってから、また教室に戻ってきた。


おそらく、今日完成する。

早く完成させたい。

そして、言うんだ。


この、秘めた想いを。


……。


……それにしても、来ない。

大切な話があると亜綱から聞いたはず……その亜綱が来ていない。


そう思った時、ドアが開いた。

扉の向こうに、亜綱の姿があった。



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