短編集

「未妃と会った癒那は、少しずつだけど確実に未妃に惹かれていってた。すぐにわかったよ、あたしも癒那をみてたから」

「あぁ……」

「癒那、未妃が好きなんでしょ?」


今日初めて知った亜綱の気持ち……。

亜綱が俺を見ていた。


そして、俺の気持ち……。


「うん……俺は未妃が好きだよ」


変え難い事実。

一目惚れに近い感情から彼女をモデルにし、その時よりも膨れ上がった気持ち。


まるでシャボン玉のようだ。


「未妃と一緒にいると楽しいし、落ち着くんだ。放課後は大好きな未妃を大好きな『絵』として完成させる」


シャボン玉は、いつか弾ける。


「それも、もう今日までだけど」


弾けて、気持ちを抑えられなくなる。
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