短編集


……。


一瞬、考えた後。


「……えぇっ!?」


当然驚いた。

こんなにも堂々とフラれる宣言をする人もなかなかいないだろう。


「あたし、しつこい女は嫌いなの。ダメだってわかってるのに、一々返事なんか聞いてられないよ」


さすが、亜綱はどこまでも亜綱だった。


「だからあたしは告白してふられるために来た」


堂々と、そう言った。


亜綱は亜綱なりのやり方で、俺を未妃の所に誘導しようとしてるんだよな。

そう思うとつい嬉しくなった。


「癒那 、もう行っていいよ。未妃待たせてんでしょ?」


あ、そうだ。

早く行って……この気持ちを伝えたい。


「じゃ、行く。亜綱、ありがとう。今日から友達として、よろしく!」


俺は亜綱に背中を押され、教室を出て未妃の元へ急いだ。

一分でも、一秒でも早く未妃に逢いたい、という気持ちだけが走った。
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